今、思うヶドあたし達が付き合うきっかけってさ、ありえなかったよね。


うん、ありえないっつ-か。


ヘンだった。


まぁ、今になってみればあんたらしいなって思うよ。



あんたに出会えてよかった。









《ねぇ、一緒に住まない?》


あたしの好きな着メロが鳴って、塗り立てのペディキュアを傷つけないように携帯を開いた。

『えッ!?……えぇ??』


思わず、声に出してメールを前のめりになって何度も確認する。
ィャィャィャ…
ありえないっしょ。

少しだけ震え出した手で、メンソールのタバコに火を付ける。

ふ-っと白い息を吐く。




《ど-かな。通い妻ならなってもィィよ(笑)》



…送信




この人、頭おかしいんじゃないのと本気で思った。

ありえなさすぎて少しだけ笑える。


♪~♪~♪~♪


受信…コウ


《そんなんじゃ意味ないんだって!一緒にいなきゃ!》



あ、やっぱ、頭おかしいんだ。
それか、よっぽどのひま人?


体中にニコチンが行き渡ると案外冷静になれるもんで。


胸に秘めていた言葉をメールの文字にしてあげた。



《だってさ-
うちら、付き合ってもないし。そもそも、会った事もないじゃん》