「海翔~っ、おはよぉ」

「おっはよー碧」



自分でも
ぎこちない。
この声のトーン。



「あれぇ?
 目、腫れてない?」

「え。あー・・・。
 そんなことないって!」

「ま、いっか!ってか、
 今日なんで巻いてんの?」

「え?別に~?
 イメチェンかな」



まるで碧。

だけどその碧は、
いつも通りに接してる。

気付いてないのか、
気にしてないのか。



「あ、ねぇねぇ」

「何ー?」

「今日屋上行こ?」

「え・・・?」



屋上、って。

碧が行きたがる。
ってことは絶対
矢崎先輩がいる。

そして。

あたしを誘う
ってことは、
多分・・・
聖生先輩もいる。



「どったの?」

「あたし、いいや」

「えっ」

「風邪気味だから。
 ほら、屋上寒いし」



会わないって、
そう決めたから。

親友にさえ、
うそをついた。



「そっかぁ・・・」



肩を落として、
口を尖らせる碧。

・・・ごめんね。