「奏兄ごめーん」

「おー。あ、髪。
 ・・・イメチェン?」

「まぁそんな感じ。
 お兄ー、ご飯は?」



口調も、できるだけ
明るい感じにした。

家でまで、
無理してこんなに
しなくていいはずなのに。



「これ。フルーツ」

「いただきま~す」



苺や林檎、蜜柑も。

季節外れの
フルーツもあった。

全部美味しいのが、
これまたすごいこと。



「海翔、家では
 いつものお前でいろ」

「・・・え」

「こっちが落ち着かない。
 どうせ奏翔もそうだろ?」

「まぁな」



・・・なんだ。

結局はもう、
バレるんだもんね。

・・・でもね。

こればかりは、
突き通すしかないんだ。



「・・・ごめん。
 ごちそうさまっ」

「・・・。奏翔、
 さっさと届けて」

「ん、あぁ・・・」



少しだけ。
泣きそうになりながら、
あたしは足早に家を出た。