「・・・先輩は、
 彼氏なんかじゃないよ」

「え?」

「友達なの。
 ただの友達・・・」



自分で言っといて、
なんか、悲しくなった。

友だち、なんだよね。
ただの友達なんだもんね。



「んな泣きそうな顔すんな」

「えっ?」

「ごめんな?」



お兄が微笑んだ。
優しいね。

お兄は、
優しすぎるよ・・・。



「・・・奏兄のとこ、
 行ってくるね・・・」

「あぁ」



駄目だ。

お兄といると、
全部投げ出したくなる。

お兄が
優しいから・・・。



―――コンコンッ

・・・返事ないな。

静かに、部屋に入った。



「奏・・・?」



寝てる、か・・・。

・・・息荒い。
顔も赤いし・・・。



「ごめんね、奏兄」



あたしのせいだよね。

駄目だなぁ、
あたしって本当に・・・。



「本当、駄目な妹だね」



立ち上がって、
奏兄に背を向けた。

・・・その時。