「んっ・・・。
 もう、歩夢っ」

「っあー!
 目、覚めた」

「キスで覚める
 って・・・ばかっ」



唇を尖らせて
拗ねる碧だけど。
その表情の裏には、
ちゃんと笑顔が見えた。



「お前、可愛いな」

「うるさぁ~い」

「イチャつかない!
 ほら、布団片付けてー」

「ぁ、悪い悪い。
 ってか聖生は?」



ピタッと、
あたしの動きが止まった。



「昨日の夜、帰りました」

「はぁ!?何だよあいつ」

「なんか急用らしくて」



矢崎先輩に、
笑顔を向けた。

―――作り笑顔を。



「ねぇ海ちん~。
 朝ご飯作って来て?」

「え、布団は?」

「あたし達がやっとく♪」

「分かった。お願いね」



碧にも、バレた気がした。

だから1人に
してくれたのかな、って。

部屋を出て、
キッチンに入った。



「朝ご飯か・・・」



朝は基本和食。
甘い卵焼きと、
お味噌汁を作った。

完璧ってやつ?