「じゃあ、俺ら下行くな」

「はい」



矢崎先輩が、
先に部屋を出た。

聖生先輩は、
なかなか出ようとしない。



「・・・海翔」

「な、に・・・?」

「無理、すんなよ」



え・・・。

さっきはひどいこと
散々言ってたのに、
どうして今度は、
優しくするの・・・。

先輩は、静かに
部屋を出て行った。

・・・もう、
先輩が分からないよ・・・。

あたしは、先輩にとって
そこらの女子と同じなのかな?

先輩の気まぐれに、
振り回されてるだけなの?

・・・だったら。

もしそうなら。
なんであんな人・・・、
好きに、なっちゃったのかな。



「バカみたい」



閉じた瞳から、
静かに涙が零れた。



「海ちん、上がったよ」

「うん。じゃあ入る」

「パジャマ、借りたから」

「うん」



パジャマとタオルを
持って、お風呂に入った。