「・・・さっき、
 なんとなく思って」

「・・・そっか」



奏兄は、切なげに笑った。
・・・・どうして・・・?



「俺が新垣家に来たのは、
 お前がまだ2才の時だよ」

「奏兄だって・・・、
 その時、3才じゃん」



どうして。
奏兄は覚えてて、
あたしは覚えてないの?



「うん。なんでだろうな。
 環境の変化に敏感なんだよ」

「・・・ばか」



ははって笑う奏兄。

無理してることが、
バレバレだった・・・。



「父さん覚えてる?」

「・・・なんとなくだけど」



あたしがまだ小さい頃、
交通事故で死んだお父さん。

顔は覚えてないけど、
優しかったことは覚えてる。



「俺は、父さんの連れ子」

「じゃあ、あたしは・・・」

「母さんの連れ子。
 もちろん、兄貴もな」



奏兄だけ・・・、
繋がってなかったんだ。

だから、全然
顔も似てなくて・・・。



「・・・そっか」

「うん。でも、海翔」

「ん?」

「俺はお前のこと、
 本当に妹だと思ってるよ」



手を伸ばして、
奏兄はあたしの頭を撫でた。