「何があった?海翔」

「・・・ごめん」

「理由を聞いてんだよ。
 俺らには言えないこと?」



ゆっくり、小さく頷いた。

好きな人が、
全然分かってくれない。

・・・なんて。
絶対言えないよ。



「なら無理にとは言わない。
 もう少しだけ、ここにいな」

「・・・うん」

「でも落ち着いたら帰れよ?
 自販機で何か買ってくるわ」



そう言ってお兄は、
病室を出て行った。



「奏兄・・・、平気?」

「すぐ治してやるよ。
 早く、家に帰りたいし」

「ねぇ奏兄?」

「・・・ん。何?」



丁度良いから、
ここで聞こうと思った。

どうせなら、
お兄じゃなくて、
奏兄に聞きたかったんだ。



「変なこと聞くけどさ」

「うん」

「あたし達って、
 兄妹・・・だよね?」



奏兄の顔が、引きつった。
うそでしょ・・・?



「・・・ねぇ、奏兄。
 正真正銘、兄妹でしょ?」

「・・・いつ気付いた?」



そ、んな・・・。
うそって、言ってよ。

ちゃんとした、
兄妹だよ、って。

何言ってんだよ、
って、笑ってよ・・・。