「歩夢も、駄目・・・?」

「碧っ、俺はいいよ」



でも矢崎先輩・・・。
その顔で帰ったら、
何か言われるんじゃ・・・。

でもかと言って、
男の子と泊めるわけには。



「んー・・・」

「お願い。お願い・・・」



そう言いながら、
碧は膝をついた。

・・・決めた。



「分かった」



言った瞬間、
碧が勢いよく顔を上げた。



「本当・・・?」

「碧にそこまで
 お願いされちゃ、ね」

「海翔、いいのか?」

「はい。矢崎先輩」



聖生先輩と目が合った。



「え・・・?」



軽く、あたしを睨んでた。

だけど、その目は、
少し切なそうにも見えた。



「聖生も、いい?」

「えっ?」

「落ち着かないだろ?
 俺、男1人だと。な?」

「いい、ですけど・・・」



矢崎先輩が、
落ち着かないって言うから。

だから。
だから。

・・・だから。



「じゃ、俺も泊めて♪」



先輩・・・?

初めて会った時の、
軽い先輩の口調と同じ。

胸が苦しい。

―――ねぇ先輩・・・。
あたし以外の子にも、
そうやって言ってるの?