「俺、帰ります」



さすがに・・・、
お兄とは気まずい、か。



「じゃあ、あたしも」

「海翔、今日、ごめんな」

「いーって。碧か誰か、
 家に泊まらせてもいいでしょ?」

「うん。それはいいよ」



なら大丈夫。

あたしはお兄に
そう言って病室を出た。



「先輩、ごめんね」

「海翔が謝ることじゃないだろ?」

「これから、どうしよっか?」

「・・・俺んち来る?」

「えっ」



先輩の家。
と、言えば・・・。

聖那ちゃんだよね。

昨日みたいなこと
起こったらやだけど・・・。



「あ。姉貴のことは、
 無視していいからさ」



別に、平気だよね。
聖那ちゃんのことは
普通に、好きだし。



「行く」

「じゃあ行くか。
 降って来る前に」



あ、そうだ。
雨降るんだっけ。

空は曇って、
蒸し暑かった。

・・・ほんと、
降りそうな空・・・。



病院から
あたしんちは近い。
イコール、
先輩んちも近い。