「先輩、どうして?」

「・・・さぁな」



さぁな、って・・・。
もっと分かんないよ。



「・・・海」

「ん?」

「話が、ある」

「・・・先輩、
 ちょっと、いいかな?」

「外にいるから」



先輩は、病室を出た。

初磨の話、
何となくだけど、
予想はできてる。



「手術、来月なんだ」

「え・・・!?」



予想的中。
だけど、
来月って・・・。

早すぎるよ。



「ごめんな」

「なんで謝るの」

「来月、俺は死ぬ」



そんな・・・。
なんで。
やっぱりもう
諦めてる・・・。



「バカ!」

「・・・海」

「死なせないんだから。
 初磨は絶対生きるの!!」



くらっ...



「海!」



急に大声を
出したせいか、
めまいがした。

足の力が抜けて、
倒れそうになる。



「・・・あれ?」



おかしい。
支えられてる・・・?



「分かったから」

「は・・・」



初磨が、
ベッドから立ち上がり
あたしを、支えてた。



「お前は昔から、
 希望を捨てなかった」

「初磨・・・?」

「俺も、ちょっと
 頑張ろうと思う」

「え・・・」



初磨は、笑顔だった。

久しぶりに見た、
初磨の笑顔・・・。



「病は気から。
 医者にそう言われた」

「初磨ぁ・・・」



大丈夫。
初磨、大丈夫だよ。

絶対成功する・・・。