「そか。・・・俺、
 辻宮 聖生。よろしくな」



何も答えず、
初磨は窓の外に目を向けた。



「初磨・・・」

「俺、ここに来れる日は
 なるべく来ようと思うんだけど」

「え?先輩・・・」



何を考えてるのか、
ちょっと分からない。

多分、初磨の
態度はずっと変わらない。



「いいか?」

「あたしは、いいけど」

「なら、明日も来る」

「・・・雨」



初磨が口を開いた。



「雨?」



窓の外を見ても、
雨なんて降ってない。



「もうちょいで、降る」

「ほんとに?」

「・・・降るよ」



そう言った初磨の顔は、
少しだけ、嬉しそうだった。

・・・初磨は、
昔から雨が好きだから。



「俺、まだいてもいいか?」

「・・・別にいい」

「先輩、雨降るよ?」

「いいよ。ここにいたい」



・・・やっぱり分からない。