「昨日約束した」



先輩が
サラッと言った。



「えぇ~っっ」

「そんなに驚くことか?」

「だって海ちん。
 昨日熱出たんでしょ!?」

「え、うん。
 まぁ・・・」

「あたしの電話、
 出なかったじゃん!!」



それを言われると、
言い返せない・・・。



「えと、ちょっと。
 寝てた・・・から」

「隼兄は、寝てる~、
 なんて言わなかったよ??」



お兄のことだから、
そのまま言ったんだろうな。



「・・・あたし、
 ちょっと保健室行くね~」



こうなったら、
逃げるしかない。

・・・多分。



「海ちん!!
 逃げるなぁっ」

「碧、もういいだろ?」

「辻宮先輩っ」

「ただ家近いからだって。
 ほんとに、それだけだよ」

「海翔は、そうじゃないよ?」



あたしは、
ピタッと足を止めた。

碧・・・。

余計なこと言うんじゃ・・・。



「どういう意味だよ?」

「海翔は、先輩と一緒に
 登校したかったはずだよ」

「なんで、碧が
 そんなこと言うんだよ?」

「だってあたし。
 海翔の親友だもん」



・・・バカ。

保健室、やめた。
うそなんてつかない。

全部話すんだ。
だって、
親友だから。