「その、方法って?」

「・・・手術」

「え」

「手術をすれば、
 助かるかもしれないの」



ただ。
リスクは・・・。



「絶対、ってわけじゃ
 ないんだよな?きっと」

「うん。成功する確率は、
 ・・・かなり、低いと思う」

「やっぱりか・・・。
 俺、今日会いたいんだけど」

「会いたいって・・・。
 初磨に・・・?だよね」



会いに行くのは、
別にいいんだけど・・・。

初磨、先輩のこと
覚えてる・・・かな?



「ダメか?」

「いいよ。だけど、
 初磨、覚えてるかな」

「なんで?」

「入院ばっかりで、
 学校全然行かないから」



その頃からもう、
希望は失くしてたし。

人の名前とか、
覚える気なかったと思う。



「なるほどね。まぁ、
 とにかく会いてぇからさ」

「うん。じゃあ、
 今日病院行こう?」

「おう。・・・あ。
 そろそろ時間やばくね?」



周りには、
全然人がいない。
やばいかも。



「急ごっか」



あたしが
そう言うと、
先輩はあたしの
手を握って軽く走り出した。