「先輩、軽いのに」



つい、口にした言葉。
・・・やばい。
本人にこんな
面と向かって言うなんて。



「ははっ、まぁな」

「ごめん」

「謝んなよ。事実だろ?」



先輩は、
あたしの頭を
軽く叩いて歩き出した。

はぁ・・・。

あたしって、バカ。



「ね、先輩」

「んー?」

「あたしね・・・、
 3年に、イトコがいるの」



なんで、いきなり
こんな話したのかは
・・・あたしも分からない。



「え?マジ?
 名前、なんつーの?」



分かるかな・・・。



「崎坂 初磨」

「・・・、あ。
 ずっと学校休んでる?」

「え。知ってるの?」

「当然。同じクラスだし」



初磨は、確か2組。
ってことは・・・
先輩、2組なんだ・・・。



「そっか。初磨ね、
 ・・・今、入院中なの」

「え?」

「学校には言ってないけど、
 初磨、生まれつき心臓が悪くて」



あたし、なんで
こんな話してるんだろ。

・・・でも。

先輩、
すごい耳傾けてくれてる。