何の音?



「・・・奏翔」



低い声でそう言ったお兄。
え、奏兄?

あたしとお兄は、
玄関へと走った。



「奏!!」

「っぶねー・・・。
 立ち眩みしただけだから」



うそ下手。



「奏翔、休め」

「は!?・・・海」



奏兄に睨まれて、
・・・背筋が凍る。



「俺が無理に
 聞いただけだ」

「んだよ・・・。
 結局、バレバレかよ」

「奏兄・・・」

「わーったよ。
 今日は、休むから」



じゃあ今日、
学校行くのは
あたしだけか。

お兄も、
行かないだろうし。



「あ、あたし行くね」



家を出ると、
先輩がいた。



「あ、海翔」

「おはよう先輩。
 どれくらい待った?」

「いや。全然待ってない」

「本当?」



先輩は
ああ言ってたけど、
結構、
待ってたんじゃないかな。

なんか・・・、
そんな感じがした。

・・・なんとなく。