「男か!?」



泰兄・・・。
お兄の前では、
いつもの奏兄だった。



「だったら?」

「許さん!!」

「うるさいな」

「海!兄貴に向かって!!」



・・・お兄は気付いてる。

奏兄のことを
じっと見て、喋らないから。



「・・・お前ら、食え」



お兄が発した言葉は
それだけだった。



やば。
先輩来るって忘れてた。



「ごちそうさま。
 じゃあ行ってくるね」

「海翔っ」

「え?」



お兄に、
引き止められた。




「お前、知ってんだろ?」



奏兄に聞こえない
小さな声で、聞いて来た。



「・・・奏兄?」

「それしかないだろ」

「絶対言うなって・・・」

「いいから、言え」



・・・いっか。
どうせ気付いてるし。



「えっと・・・」

「で?あいつ熱は?」

「計ってないけど、
 ちょっと熱かったかな」

「はあ・・・。
 そか。ありがと」



―――ガタンッ