「奏翔、黙って食え」



お兄に言われると、
奏兄もちゃんと黙る。
最初からそうやって
黙ればいいのに。



「うぃー」

「あ、オムライス」

「お前好きだろ?
 奏翔のリクエスト」

「え?」



奏兄・・・、
オムライス好きだっけ。



「兄貴!!」

「奏翔が、海が好きだから
 オムライスにしろ、って」

「だーっ・・・」



奏兄が?
・・・あたしの、ために?



「ありがと・・・」



照れくさいよ。
お兄になら
何回も言ってるけど。

奏兄に、
ありがとう
なんて・・・。



「うるせーよ・・・」



奏兄の顔が、
ちょっと、赤かった。



「奏翔も可愛い奴だな。
 好きなんだろ?海翔が」

「うるせぇよ兄貴!」



本当、似てない。
お兄と奏兄。
兄弟って言うより、
友達っぽい・・・。

まぁ、
そんなこと
気になんてしない。

・・・つもり。