「本当に、平気」



お兄は、
知らないの。
こんなのは、
よくあることだ
・・・って。



「海翔・・・」

「悪くなったら、
 帰って来るから」

「絶対、無理すんなよ?」

「うん」



お兄に手を振って、
あたしは歩き出した。



「かーいとっ」

「ぁ、
 ・・・辻宮先輩」

「聖生でいいよ」

「じゃあ、
 聖生先輩」



歩いてると、
後ろから、
先輩が
声を掛けて来た。



「・・・海翔?」

「えっ?」

「具合でも悪い?」



・・・うそ。

なんで、
気付くの?



「え・・・」

「顔色悪いし、
 元気ないからさ」

「すごい・・・」

「え?」



ばか、あたし。
誰にも、
言わないつもり
・・・だったのに。



「あ、いや・・・」



言ったって、
どうしようもないじゃん。

また・・・、
気、遣わせちゃう