「海翔、大丈夫か?」

「うん。もう大丈夫」

「何、帰った?
ってか、何しに来たわけ?」



・・・確かに。
いきなり
帰って来るなんておかしい。



「あー・・・、それは・・・」

「ハッキリ言えって。
海のためにもさ、ちゃんと」

「・・・分かったよ」



お兄は、あたしに
目線を合わせて言った。



「子ども、生まれたんだって」

「・・・え?」

「つまり・・・、弟?」



なんて、勝手なことをしてるの?

仕事ばっかりの人が、
子供なんて・・・。



「待てよ。それって・・・。
再婚したって、ことなのかよ」

「・・・あぁ」



再婚して、子供産んで。
一番可哀そうなのは、
その子でしょ・・・?

なんで先のこと考えずに、
そういう無責任なことするかな。



「それだけじゃない。
子供を、預かってほしいって」

「・・・は?」

「仕事が忙しいから、
面倒を見てほしいって」

「・・・ふざけんな!」



その子には何の罪もない。



「いいよ。預かろうよ。
だって・・・、弟なんだから」

「いいのか?海翔」

「うん」



小さく笑って、そう言った。