「海翔っ!!」



お母さんを振り払って、
お兄達に駆け寄った。



「奏翔、頼む」

「海、大丈夫か?」



震えるあたしの肩を、
奏兄がそっと抱き寄せた。



「奏翔、部屋行ってて」

「あぁ」



あたしは奏兄に連れられて、
奏兄の部屋に行った。



「海・・・、ごめんな。
 1人にするんじゃなかったな」

「ごめん・・・」

「大丈夫。恐かったな。あとは、
 兄貴がどうにかしてくれるから」

「・・・うん」



お兄の声が聞こえた。



「海翔の気持ちも考えろ!!
 ずっと帰って来なかった奴が、
 今さら母親面してんじゃねぇ!!」

「・・・兄貴は実際、
 誰よりもお前が大事だからな」



過保護なわけでもなく。
ずっと見守っててくれる。



「ずっと恐かったんだぞ!?
 会わなきゃ解決しないって、
 無理に頑張って会ったんだよ!!」

「お兄・・・」



ありがとう。

あたしやっぱり、
2人の妹で良かった。



「帰れ!」



玄関のドアの音。
お母さんが帰ったんだ。