「・・・夜って、言ったよね。
 うそつく所は全然変わってない」

「ごめんね。仕事が、
 思ったより早く終わって」



・・・これが、お母さん。

目が細くて、少しお兄に似てる。
左利きなのはあたしと同じ。

美人、だと思う。
・・・なのに、
なんで性格は最低なのかな。



「・・・あなたは、
 あたし達を苦しめ続けた。
 お兄の気持ち考えたことある?
 毎日毎日、家事やってくれて。
 弱音なんて吐かないで・・・」

「・・・奏翔にも、
 同じ事を言われたわ」

「・・・ぇ」

「あなた達は、
 本当の兄妹のようね」



・・・兄妹だよ。

血は繋がってなくても、
そんなこと、関係ない。

あたし達は兄妹だよ。



「奏兄は、あたしのお兄ちゃん。
 ・・・でも。でも、あたし、
 あなたを、母親だとは思わない」

「・・・海翔・・・」



お母さんが立ち上がって、
・・・あたしを抱きしめた。

何?何してるの?

・・・今日、先輩に
同じことされたのに・・・。

なんでこんなに、
嫌だと、思うんだろう。



「・・・やっ、離して!!」

「ごめんなさい・・・」



謝るだけで、
離そうとしない。



「・・・やだ。お兄!奏兄!!」



勢いよくドアが開く音がして、
2人が走って来た。