「聖弥くん・・・」



おばさんも、
聖那ちゃんも、涙を流してる。

先輩は、必死に
堪えてるようだった。



「でもあの子には、
 何も言ってないの」

「え・・・?」

「聖弥は強い子だもの。
 きっと治してみせるわ。
 死ぬわけないじゃないの」

「母さん・・・、落ち着けよ」



若干震えた声で、
先輩は言った。



「あ・・・ごめんなさい。
 海翔ちゃん、お願い。
 あなたも、聖弥には・・・」

「分かってます。
 ・・・言いません」

「ありがとう。
 ・・・さ、ご飯作るわね」



涙を拭って
笑顔を見せたおばさん。

きっと誰よりも、
辛い思いをしてきて。

きっと誰よりも、
聖弥くんが大事で。

きっと誰よりも、
治るはずだと信じて。

・・・そして、

きっと誰よりも、
今より幸せになれると信じてる。



「海翔、上行こ」

「・・・うん」



先輩の部屋に行った。

あの話を聞いた後だから、
ちょっとだけ気まずい・・・。



「・・・まぁ、
 聖弥のことは大丈夫だよ。
 そういえばさ、
 この間初磨に会いに行ったんだ」

「・・・え、どうだった?」



最近色々あって、
初磨に会いに行けてないな。