「ここ・・・ろ?」

「そう。最初はね、
 体が弱いだけだったの」



おばさんは続けた。



「昔は入退院を繰り返してたわ。
 最初は、友達もたくさん
 お見舞いに来てくれた。
 ・・・けど。
 どんどん少なくなって、
 そのうち、誰も来なくなった」

「・・・そんな・・・」



だから聖弥くんは、
常に寂しい目をしてる。

まだまだ小さいのに、
色々背負ってる感じ・・・。



「希望を失くして、
 死にかけたこともあった。
 友達がいないから、
 退院しても学校には行かない。
 
 ・・・そんな聖弥に、
 聖生は、今も昔も
 勇気を与え続けてるわ」

「先輩・・・?」

「・・・なのに・・・っ」



涙を浮かべて俯いたおばさん。




「強くなってきたのに・・・、
 神様はあの子に意地悪なの。
 1年前よ。風邪で寝込んで
 病院に行った時に・・・」



先輩も聖那ちゃんも、
あたしと目を合わせない。



「・・・心臓のね、
 病気になってしまったの」

「・・・えっ・・・」

「20歳まで、生きられるか
 分からないの・・・」



そんな・・・。
信じられないよ。

元気、とは言えないけど、
心臓の病気だなんて・・・。