「そっか」



これ以上は、
聞いちゃいけない。

そんな気がした。



「海翔姉ちゃん」

「聖弥くん!
 こんにちは」

「うんっ・・・」



聖弥くんの笑顔は、
・・・優しい。

いつでも、
優しい笑顔。



「聖弥!寝てろ」

「ちょっとだけ。
 海翔姉ちゃん、
 なんか、ごめんね」

「え?何・・・が?」

「ううん。何も。
 僕、部屋に戻るね」



聖弥くんは去って行った。
ごめんね、って・・・?

気になってしょうがない。

どうして、謝るの?



「海翔~っ!
 久しぶり!!」

「あ、聖那ちゃん」

「聖弥落ち着いたから、
 下りて来たんだけど。
 あ、あたし紅茶入れるね」



聖那ちゃんは、
いつもより静か。



「ぁ・・・姉貴。
 部屋持って来て」

「はいはーい」

「行こ、海翔」



先輩に手を引かれ、
階段を上った。

・・・そうだ。

あの人のこと、
話すんだよね・・・。