「・・・あの人」

「会う、の?」

「・・・うん。
 会わなきゃさ、
 解決しないじゃん」

「そう・・・。
 頑張ってね!!」



笑顔が戻り、安心した。

じゃあね、と。
言って教室を出た。



「・・・先輩」

「海翔、どうした?」

「うん・・・。
 話が、あって」

「俺んち行こうか。
 ここよりいいだろ?」



ありがとう、って。
小さく呟いた。



「ただいまー」



先輩の家は、
なんだか騒がしい。



「聖弥!」



上から聞こえた、
聖那ちゃんの声。

怒られてるの?

・・・いや、違う。
聖那ちゃんの声は
慌ててるようだった。



「海翔、待ってて。
 様子見てくるから」

「うん」



先輩が行くと、
また、声が聞こえた。



「はぁっ・・・。
 ごめん。もう平気」

「どうかしたの?」

「・・・いや。
 何でもないよ」



・・・うそ。

無理に笑ってる。
そう、すぐ分かった。