『2年1組新垣 海翔、
 今すぐ職員室に来なさい』



担任の声。
・・・行くか。



「行ってきまーす」

「海翔何したんだよ」



先輩が
笑いながら聞いた。
千晴も小さく笑ってた。



「さぁ~?」



あたしも笑いながら、
音楽室を出た。



―――ガチャ



「失礼しまーす」

「新垣、電話だ」

「は?」



怒られると
思ってたのに、
何、電話って。



「早くしなさい」

「・・・え。
 はい、もしもし?」

『海ちゃん』



―――ビクッ



声を聞いた瞬間、
肩と心臓が
跳ね上がった。

そして同時に、
手が震えだした。



「どうして・・・」



誰か、なんて
すぐに分かった。

あたしのことを
“海ちゃん”
って呼ぶのなんて、
あの人しか、いない。