「あんたが死んだら、
 美影が背負うんだよ。
 苦しみも、悲しみも。
 あんたがいなきゃ
 美影が駄目になる。
 それでもいいなら、
 さっさと飛び下りれば?」



千晴は。
静かに足を下ろした。



「・・・みんなに言われた」

「え?」

「親戚中たらい回しで、
 その先々で言われたんだ」



今にも消えそうな
千晴の声に、
そっと、耳を澄ました。



「産まれてこなければ、
 こんなことには・・・。
 って。みんな言うんだよ」



美影が小さく、
声を漏らした。

千晴は、
話し続けた。



「でも姉貴だけは、
 そんなこと言わなかった。
 それが一番、
 残酷に感じてたんだ・・・」

「ごめん。ごめんね。
 千晴のこと、あたし
 何も分かってなかったね」



・・・さ。
あたしは退散、っと。

これはもう、
姉弟だけで大丈夫。



―――ガラッ



「新垣!授業中だぞ!?」

「え。知ってるけど」

「なんだその口調は。
 新垣、休み時間
 職員室に来なさい!!」



・・・あーあ。
また、
先生怒らせちゃった。

お兄に叱られる・・・。