―――ザアァ・・・

突然、降り出した雨。
全部全部、
流してしまいたい。

お母さんのことも
先輩のことも
千晴のことだって。



「・・・え?」



ボーっと、
雨に当たっていた。
遅刻なんかも、
どうでもよかった。

・・・突然、雨が
当たらなくなった。



「風邪、引きます」

「千晴・・・」

「何やってんすか?」

「なんで・・・」



あれだけ、
突き放したのに。



「落ち込んでても、
 時間、勿体ないんで」



何もなかったかのように、
あたしに向かって微笑んだ。



「そっか・・・」

「ほら、行きましょ?」



何も言わず。

ただ傘の中、
千晴の隣を歩いた。



「海翔~っ」

「ぁ、碧・・・」

「誰?この人」

「1年の宝田 千晴」



碧は、ふぅ~ん
と言って千晴を見た。



「見すぎ、碧」

「こんな子いたんだぁ♪
 猪狩 碧!よろしくねぇ」

「あ、はい。どうも」



緊張してんのか、
千晴は口数が少ない。