「あの人が・・・」



なんで?
ねぇ、なんで?

今までは、
放置だったじゃん。
なのになんで、
今さら・・・??



「お前、どうする?」

「え?」

「会えるか?」



“会えるか?”
・・・分かんない。

あたし・・・、
あの人に会えるの?

怖い。
怖いよ・・・。

あの人は、
あたしのこと。
覚えてるのかな??



「・・・無理
 って、言ったら?」

「会わせない」

「今度の日曜は、
 遊ぶか部屋にいるか」

「・・・そっか。
 考えても、いい?」



逃げたって、
変わらないのに。

いずれかは、
会わなきゃいけないのに。

だけど・・・。

分かっていても、
怖くてしょうがない。
お母さんの顔なんて、
全然覚えてないし。
いざ会って、
誰?って言われたら、
あたし、どうするんだろう。



「うん。よく考えて」



その夜は、
眠れなかった。

お母さんが、
帰って来る。

一般家庭では、
普通のこと・・・。
うちは、普通じゃない。

帰って来るだけで、
こんなに・・・、
動揺するなんて。