「ごめんね碧。
 隠してばっかりで」

『言いたくないなら
 別にいいんだけどさ?』



先輩のこと、
まだ引きずって。
あたし、バカみたい?

あの日あたし、
振られた同然だったのに。

もうやめた。って、
自分にもうそついて。

なのに。
いざ先輩に会うと、
心臓がうるさくて。

結局あたしは、
たくさんの人を傷つける。



「落ち着いたら、
 絶対、話すから」



今はまだ・・・。



『じゃあ、絶対ね。
 あたし待ってるから』

「・・・ん。
 ありがと碧」

『いーえっ、
 だって親友でしょ?』

「うん。そだね。
 じゃあ、また明日ね」



碧優しすぎる。

なんだかんだ、
碧がいなきゃ
駄目なんだな、あたし。

そう思いながら、
あたしは電話を切った。



「・・・ふぅ」



このままじゃ、
駄目だよ・・・。

先輩との関係、
ハッキリさせないと。

碧を傷つける。
それに、千晴も。
あいつムカつくけど、
悪い奴じゃないから。

なんとなくだけど、
千晴は多分、
誰よりも傷つきやすい。

表には出さないけど。

千晴の心は、
多分すごく脆い。

“姉貴には逆らえない”

この言葉は多分、
その心から来てるはず。