「海翔ぉー、あたし好きな人できちゃった」



親友の言葉に耳を疑う。
・・・、好きな人が?
初恋もまだなあたしに何てこと。



「・・・誰よ!?」

「先輩なんだけどさ?
 矢崎 歩夢先輩!一目惚れ❤」



一目惚れか・・・。
親友、猪狩 碧(イガリ ミドリ)
この子とは小1からの付き合いで。
あたし達はお互いにしか心を開かない。

・・・はず。

碧に好きな人ができてしまった。
あたし、構ってもらえなくなるよ。



「ばっかみたい。
 一目で惚れんなよー」

「いーじゃん❤
 海ちんもさ?恋しよ??」

「無理だね。
 男なんてどれも同じ」



中学入ってから、
何人もの男に告られた。
もちろん、全部拒否。
男は嫌い。大嫌い。

小さい頃から、色んな人に
可愛い可愛い言われて来た。
自分ではそんなこと思わない。

・・・でも。

告ってくる奴は
みんな顔で決めてる。



「でもね、海ちん。
 いつか絶対現れるよ」

「え?」

「海ちんを見てくれる人。
 ね、先輩に会いに行こぉよ」

「んー・・・、いいよ」



碧が一目で惚れたのは
どんな奴なのか。
確かめるのも悪くない。

教室を出て、
3年の教室に向かった。



「せんぱぁ~い」

「ん?えっとー・・・。
 あ、碧ちゃんだっけ?」

「はい❤」



これが、矢崎 歩夢先輩・・・。