居間に着き母の向かいに座ると
何?と聞く前に要件を言った。

母「羅喜、折り入って頼みがあるの。」

珍しくもない事だが
いつもおちゃらけている母さんが
真剣な表情で頼み事をしてくる時は
ろくな事じゃない。

羅「……何だよ…。」

冷や汗をかき、顔をひきつらせていると

母「あのね、今早朝5時でしょ?
  今日から夏達が居る男子高
  つまり私とパパが経営している学校に
  男性教師として来てほしいのヨ。」

ほら、ろくな事じゃない…。

羅「嫌だ、男子高に男性教師として何て
  誰が、ハイそーですかって言って
  許可する。」

母「…羅喜、来ないと羅喜が大好きな
あの店のケーキ、一生買って来ないわよ?」



羅「喜んで男性教師として行かせて貰いますっ!」

あの店のケーキにあたしはとてつもなく弱い。

だから考えより先に言葉が出てしまう…。


母「良く言ったわ!さ、そうと決まれば
  荷物まとめてね、寮だから。
どうせ夏達も私達もずっと学校に居る訳だし
  これで、夏達も羅喜が来たって言って
勉強に身が入るわねっ!」


あぁー…夏達、かんっぺき忘れてたわ。

さっき母さんも丁寧に説明してくれたのに
ホント、忘れてた。





女に二言はないから、仕方なく
服や日用品を大きいバックに詰め込んだ。

一応女だが使う物、服や家具は全て男物。

デザインが、な?

メンズのそのまま買ったら服とか
サイズ的に合わないし。