この際、言いたい事言ってやる。


小山主将はなんの為に野球をしてるんですか。


「私もあなたが嫌いです。主将なのに自分の事しか考えない、我が儘な小山主将は大嫌いです。本当に野球が好きなんですか。」


そんな顔で睨んでも、怖くありませんから。


こんなに怒れたのは久しぶりだった。


「西條先輩が小山は本当は優しい奴なんだと言いましたが、私にはそうは思えません。短気で我が儘で仲間を大切に思えない、大バカヤローだと思います。」


小山主将が私の胸ぐらを掴み殴ろとした。


殴りたければ殴ればいい。


「どうぞ殴って下さい。それで小山主将の気持ちが収まるなら、殴られても構いません。」


小山主将が私の胸ぐらを掴んだまま、にらみ合いになり、何かに苦しんでいると分かった私は、そっと小山主将を抱き締めた。


西條先輩がいつも私にしてくれるように。


暴れる小山主将を離すつもりはない。


「小山主将、泣いていいんですよ。」


かなり強気で言えば。


「何で俺が千比絽なんかに、慰められなきゃいけないんだよ。」


そういいながら、小山主将が涙を拭った。


みんな何か闇夜を抱えて生きてる。


さっきは怖いと思った小山主将が、少しだけ可愛いと思えた。


千比絽は本当に可笑しな奴だと小山主将が言うけど、私はいつもの本気の勝負しかしない。


野球にしても、友達にも本気でぶつかる。