沙那美が弘也の浮気を相談しに来るたび、俺は沙那美を自分のものにしようと考えるようになっていた。


弘也はいい加減な男だったから、沙那美の気持ちを俺に向かせるのは簡単で。


弘也が来るのを見計らい、俺は沙那美にキスをするが、そんな俺たちを見ても弘也は驚きもせずに。


「お二人さん、お幸せに。」


沙那美は泣いて弘也の後を追おとしたが、俺が止めた。


これ以上、沙那美を泣かせたくない。


「沙那美がずっと好きだった。俺は沙那美を泣かせたりしない。」


それから俺たちは付き合うようになり、女子校に行う沙那美と、3年間付き合った。


沙那美から言われた、衝撃的なことば。


「私はやっぱり弘也が忘れられない。」


俺と付き合った3年間は何だったんだ。


ふざけるのもいい加減にしろ。


いつまでたっても、弘也には勝てない。


弘也が憎くてたまらなかった。


どいつも、こいつも、弘也がいいんだよ。


千比絽を優しく見守る弘也を許せなかった。