私は今までも無理して、野球をやって来たつもりはない。


野球をやることで、女子としての気持ちを捨てなくてはいけないとずっと思っていた。


自分が女子であること必死で消したつもりでいたのに。


男子には負けない力を身につけ、女子の私でも出来るんだと見せつけたかった。


男子が強いものだと決めつけられる事が許せなかっただけなのかも知れない。


結局私はわがままなんだ。


西條先輩には心配ばかりかけてるし。


「西條先輩に迷惑ばかりかけてますね。これからはもっと素直になります。いつもありがとうごさいます。」


西條先輩は私を抱き締めたまま囁いた。


「俺は嬉しいよ、千比絽が俺に甘えてくれたら、もっとうれしい。」


西條先輩に私が甘える。


これ以上そんな事できません。


甘えたことないから、甘えかたも分からないです。


ずっと、一人で頑張って来たから。