振り向いた全裸の小山主将と、固まったままの全裸の私。


すっかり隠す事も忘れていた。


「おまえ、胸あるんだな。」


はい、胸ですか。


あぁ、思わず両手で胸を隠した。


どうして、こんな事になってるのか。


小山主将が近づいてくる。


「西條にどうやって取り入った。あいつは他人に興味を持たないんだよ。何で千比絽には違うのか、おまえは西條に何をしたんだ。」


小山主将が言ってる事の意味が分からない。



私は何もしていないのに。


小山主将の迫力に、全身の力が抜け座り込んだ。


「千比絽も所詮ただの女なんだよ、野球が好き笑わせるな。」


小山主将が壁を叩きつけて、怒鳴った。


シャワーは流れたまま。


怖いけど、言わなきゃ。


「私は真剣に野球がしたいだけです。小山主将にどう思われようと、私の気持ちはかわりません。」


シャワー室から飛び出した。


小山主将が怖くて、体が震える。


こんな事に負けてたまるか。


自分を震いたたせバスタオルを身体に巻き付け、着替えを抱えて部屋まで走った。


シャワー室から飛び出た私に西條先輩は驚き、異変に気付いたのか、シャワー室に入って行くのが分かったが、それどころではなかった。


小山主将が何を考えてるのか、わざとシャワー室にいたとしか思えない。


頭がガンガンした。


風邪ひいたかも。