今日は入部させてくれるまでここを動くつもりはない。


土下座してお願いした。


佐川監督の呆れた顔を見ても私は動じたりしない。


佐川監督が声をあらげて言う。


「いい加減にしてくれよ。陸斗、おまえが千比絽を説得しろ!」


陸斗が私を睨んで、その後直ぐに諦めた顔をする。


陸人なら私の気持ちを分かってくれるはず。


「千比絽はもの凄く頑固で、一度言い出したら絶対譲らないんです。あの頑固親父の子ですから。」


佐川監督が又大きくため息をつく。


私は今まで喧嘩にだって負けたことはない。


周りに強い男がいなかっただけかも知れないが。


陸斗は小さい時から泣き虫で、私がいじめっこたちから陸斗を守って来た。


泣き虫の陸斗なんかに負けるはずがないのだ。


妹思いの陸斗の事だから、絶対私の見方をしてくれると信じていたのに。


どうして、陸斗まで無視するかな。


許さない。


野球部のみんな揃って無視を決め混むだなんて、本当に小さな男たちばかりだ。


誰も私を見ようとしてくれない。