必死にことばを探したが上手くことばが出てこない。


千比絽に逆プロホーズされたというのに。


「弘也は自分には未来がないと思ってるだろうけど、みんなも明日どうなるかなんて、分からないよ。弘也と一緒にいたいから結婚する、駄目かな。」


駄目とかでなくて俺と結婚しても、直ぐに未亡人になるんだぞ。

その事が分かっているのだろうか。


嬉しいけどYESなんて言えない。


「弘也の意気地無し、私は絶対弘也と結婚するから。」


千比絽が言い出したら聞かないのは分かっていた。


だが、俺はどうしても現実を考えてしまうのだ。


「小さな教会で二人だけで結婚式する夢をみたの。ずっと一緒にいたい。だから私と結婚して下さい。」


千比絽が頭を下げた。


千比絽には負けたよ。


まさか病室でプロポーズされるなんて、夢にも思わなかった。

本当に千比絽らしいな。


千比絽の夢を叶えてあげたいけど、俺にそれだけの時間が残されているのだろうか。