千比絽を抱き締めたくてたまらないのを必死に我慢した。


ミスコンの時の千比絽は本当に綺麗だったと未練がましく思う、自分が情けない。

「ウェディングドレス姿の千比絽は本当に綺麗だったな。」


千比絽がにやりと笑った。


「もう一度、私にウェディングドレス着せてね。結婚式が楽しみ。」


俺は返事にに困った。


俺はそんなに生きていられない。


「12月24日に弘也は20才になるし、私は来年の3月3日で16才になるから、結婚出来るんだよ。3月3日は弘也の卒業式、その日に結婚しよ。」


結婚、俺は今プロポーズされたのか?


おまえは分かってるのか。


「ちょっと待てよ。千比絽、落ち着け。」


にこにこ笑ってるけど。


「私は落ち着いてるけど、慌ててるのは弘也の方だよ。」


そうだが。


確かに慌ててるのは俺だけど、千比絽と結婚したくても俺には時間がないんだ。


千比絽は平然としているけど、本当に分かってるのかと聞きたくなる。


千比絽が何を思って言ったのか、千比絽には何か思うことがあるに違いない。


だが、聞きたくても聞けずにいた。