俺の生きる力になってるのは千比絽の存在が大きくて、千比絽がいなかったら、俺は一体どうなってたのだろうと思うと、怖くてたまらない。


本当なら今頃、俺はこの世にいなかった。


誰かの為に生きるなんて嘘くさかったけど、今は千比絽の為に生きたい。


俺に残された時間は後どのくらいあるのか。


小林医師に聞いても答てはくれなかった。


《弘也が生きたいと望めば、多分その時間が弘也の生きる時間じゃないかな。》


小林医師はいつも曖昧な事しか言わない。


《千比絽がいれば弘也の生きる時間が長くなるのは確かだな。千比絽は弘也にはもったない女だよ。》


小林医師が豪快に笑った。


本当にそうだよな、千比絽は病気の俺を好きだと言うし、一緒に病気と戦うらしい。


おしゃれして出かける事もしないし、毎日野球ばかりしてる女。


野球ばかりしてる彼女を、俺は好きになった。


せっかく真央ちゃんが綺麗にしてくれたのに、髪は又坊主頭に近くて、化粧は苦手だと言って止めたし、顔の黒さも増した。


一緒歩いていたら、多分男女の区別がつかないと思う。


でも、俺はそんな千比絽が可愛くてたまらない。


可愛い俺の彼女なんだ。