俺は千比絽が西條の着替えを取りに行ってる間に、どうしても西條の容体を確めたかった。


先生にお願いすると、別室に案内してくれた。


「西條は大丈夫なんですか？普通の生活をしていいのでしょうか。」


担当医の小林医師が優しい顔で俺を見る。


「先生ならどうしますか？病院のベットの上で死ぬのを待つか、命を縮めても好きな女と一緒にいたいか。」


俺が答えに困っていると、小林医師はこう付け加えた。


それは本当に辛そうな顔で。


「弘也は本当ならもうとっくに死んでますよ。千比絽の存在が弘也に生きる力を与えてるんです。千比絽の為に弘也は1日、１時間、嫌１秒でも長く生きようとしている。
キセキは起こるんですよ。」


キセキが起きたのか。


千比絽の存在がきっとキセキを起こしたんだな。


俺もこのキセキを信じるよ。


西條弘也、千比絽のために生きろ。


生きぬけよ。


千比絽の為にどんな事をしても、生きろ！