参った、完全に俺の負けだ。


あの男女の千比絽が美しい女に変わっていただなんて。


西條弘也にお姫様抱っこされた千比絽は、本当のお姫様みたいに綺麗で、二人が本当に思いあってるのが感じとれた。

俺は何で千比絽に拘っているんだろ。


千比絽がこの闇から、俺を救ってくれるような気がしたからなのか、好きな女の子を虐めるような心境なんだろうか。

千比絽に俺を見てほしいと思ったのは確かだ。


本当に俺はバカだな。


親父が自殺したのは俺のせいなのに。


親父が母と違う女と一緒にいるのを見た時、許せなくて父親を怒鳴り付けた。


《あんたなんか俺の父親なんかじゃない。頼むから俺の前から姿けしてくれよ。二度と顔も見たくない。》


俺は親父をどうしても許せなかった。


それまでは大好きな親父だったのに。


二軍でも必死に戦い続ける親父を誇りに思っていた。


だけど、母の苦労も知らずに女遊びしてる父親を許す事は出来なかったんだ。