私はこんな事に負けない。


女をバカにする男は、たとえ教師でも許さないから。


星野監督をもう一度睨み付けつけた。


「女をバカにすると痛い目に合いますよ。私は空手二段ですから。」


なんて、おお嘘をついた。


星野監督が後退りしたその隙に、入り口まで走りドアを開けた瞬間、陸斗とぶつかる。


痛いってば。


「ちぃ何、その格好は。」


制服を脱いだままだった。


恥ずかしいよ。


「まさか。」


陸人は部室に入り、星野監督を見つける。


「西條先輩が心配してた通りな訳だ。千比絽に指一本触れさせませんから、今度千比絽に何かしたら、この学校にいれないようにしますよ。」


大人しい陸斗の言葉とは思えない。


星野監督が無言で部室から出て行った。


陸斗が座り込む。


「西條先輩から電話が来て、【千比絽を一人で部室に行かせるな。俺の代わりに千比絽を守ってくれ!】」


弘也ありがとう、私は大丈夫だから。


本当は怖かった。


「陸斗もありがとう。」


「必死だったんだからね。これでもちぃの兄貴だからさ。」


うん、お兄ちゃんありがとう。


今日は陸斗が頼もしく思えた。


星野監督が何を考えてるのかわからないが、あの今にも泣きそうな怯えた目が気になる。


星野監督が抱えている闇は何なのか。