あれから星野監督は何も言わなくなったが、みんなでランニング中、星野監督も一緒に走っていた。


星野監督は何故か私と勝負したがる。



「俺と勝負しろ。早くバテたほうが負けだ。」


どうして、勝負しないといけない訳ですか。


私がばてるなんて、あり得ないから。


悪いけど、この勝負は私の勝ち。


私が負ける訳ないでしょうが。


だが、この星野って言う男はとんでもない男だった。


運動場20周目を走った後、息も乱さず私を抜かして行ったのだ。


くそ星野の野郎目。


負けてたまるか。


「千比絽は息が乱れて来たね、まだやるつもりかな。」


悔しい。


その時声が聞こえた。


「星野先生いい大人が、女子相手に何をむきになってるんですか。千比絽もう止めるんだ。」


いつの間にか弘也がいた。


「西條はまだ生きていたのか。」


星野先生、療養中の弘也にそんな態度とっていいんですか。

「そんな簡単に、死んだりしませんよ。」


グラリと揺れる体を、弘也に抱き抱えられた。


悔しい。


負けを認めたくなかった。


こんな最低男に、負けたくない。