私は野球部を止めようと思ったけど、弘也は私が野球を止めたら、千比絽じゃなくなると言った。


私から野球をとったら何も残らない


今日弘也が退院する。


私は練習試合で、退院の日に病院へは行けなくて、母に弘也の迎えを頼んだ。


母が仕事を休んで弘也を迎えに行ってくれた。


弘也の父親は仕事を休めないと言うし、政治家だから無理ないのだろうけど。


病院へ一度も来てない事に、弘也は何も言わない。


一人暮らしの弘也の事が気になって仕方ないと言うのに。


練習試合が終わると、急いで弘也のマンションまで自転車を走らせた。


「弘也!」


「おかえり、千比絽。」


良かった、弘也がいた。


弘也がここにいる。


練習試合なので、ピッチャーとして試合に参加した事を話した。


この嬉しい気持ちは、弘也にしか分かって貰えないから。