もう駄目だと小林医師に何回も言われたが、こんなことに負けてたまるか。


私は今日から、弘也の前では泣かないと決めた。


薬が効いて、弘也の容態も少し落ち着いてるようで。


「千比絽、数学赤点だっただろ。」


え、何で知ってるの。


ヤバいです。


「陸斗が彼女と来て教えてくれたよ。今日は気分がいいのに、千比絽の赤点にやられた。」


弘也は無菌室から出てることになった。


良かった。


「千比絽、ごめん。毎日病院通いさせて。」


バーカ、弘也の頭を叩いてやった。


私が好きで来てるんです。


「千比絽、痛いよ。髪の毛ないから本当に痛いんだよ。」


弘也はニット帽を外して、おどけて見せる。


私はそのツルツル頭をなぜた。


「弘也は坊主頭も似合うね。」


本当に可愛い。


「看護師さんたちにも可愛いって言われた。」


あ、そうですか、おモテになりますこと。


なんか、面白くない。


これって、もしかて、嫉妬。


弘也のバカ。


嫌いだ。