家に帰る前に病院へ寄ると、西條先輩は無菌室にいた。


私は消毒をし着替えてから部屋に入る。


西條先輩はかなり痩せてしまっていて、気持ちが悪いと、何度も吐いていた。


「こんな姿を千比絽に見せたくなかったよ。ごめんな。」


謝らないで下さい。


私は首を左右に振った。


「どんな姿でも西條先輩は、私のヒーローです。」


西條先輩がニヤリと笑う。


無理して笑わないでほしいのに。


「俺は千比絽のヒーローな訳。彼氏とかじゃないのか。」


それはですね、もうこう言う事になれてないんです。


「彼氏と言うことにします。」


西條先輩が力なく又笑った。


「これじゃ、キスも出来ないや。」


じゃ、これで。


「それは何?」


「投げキッスですよ。受け止めて下さい。」



大笑する、西條先輩。


無理して笑わないでもいいのに。


西條先輩が生きていて、本当に嬉しいです。


お願いだから、生きて下さい。