両校点がはいらないまま、9回裏。


3点差がどうしても縮まらない。


ここまで頑張ったのだから、たとえ負けても悔いはないと思えた。


その時、電話が鳴る。


西條先輩からだ。


【千比絽負けるなよ、一回戦で敗退なんて許さないからな。】


そのまま電話が切れた。


そんなぁ、横暴過ぎます。


あ、打った!


滅多に打ったことがない、名前も出て来ない3年生。


守りがうまい外野手だと言うことは覚えていた。


次はファーボールで塁に出る。


そして、次は陸斗。


陸斗はバントで一塁に。


次は小山主将。


この男は絶対やってくれるはず。


ほらね、間違いない。


小山主将がホームランを打った。


景色がスローモーションのように流れる。


勝った、一回戦勝ったんだ。


応援席のみんなは総立ち。


みんなが抱き合って泣いてる。


西條先輩、奇蹟が又起きました。