お願いだから目を覚まして。


一緒に甲子園へ行くって約束したよね。


一人で死んじゃうなんて絶対許さない。



病院の床に座り込んだ。



西條先輩が目を覚ますまで、ここを離れるつもりはない。



陸斗に止められても、看護師さんに叱られても動かないでいると、西條先輩の担当医が来た。


「いつまでそうしてるつもり、弘也が言ってた、男女っておまえのことなのか。」


男女?



西條先輩は私の事どう話したんですか。


見た目が男だから、仕方ないけど。


「そんなとこに座りこまれても困るからね。特別に集中治療室に入る事を許可するよ。」


ありがとうございます。


西條先輩に触れ、生きてるって確めたい。


私の為に生きると言った。


私を一人にしないとも言った。


なのに、どうして、こんな事になってるの。


嘘つき、西條のバカ。


死んだりしたら許さないから。


死ぬなら私も一緒に行く。


心の中で叫び続けた。